昔、三当四落という言葉があった。受験戦争が激しかった時代に、一流大学に入るには、睡眠時間を削ってでも勉強する必要があり、三時間睡眠なら合格できるが、四時間寝てしまうと、落ちてしまうという意味である。だが、私の印象では、それは全く的外れのように思う。長いこと、受験戦争の中に身を置いてきた立場から言わせてもらうと、八当五落くらいが現実的ではないだろうかと思う。
つまりそれなりに頭のいい人間が、全力で勉強するという環境のの中では、睡眠時間を十分に取るかどうかが明暗を分けてくる。睡眠時間を増やすと一見勉強時間が減るように思うが、実は記憶の定着率、起きている間の思考力に格段の差が出てくる。単位時間の効率でいえば、数倍以上の違いが出てくるかもしれない。そうなると、どちらが総合的にみてのびるかは明確だ。
ろくに勉強する人間がいない三流行なら、ガリ勉していても余裕でトップの成績がとれるだろうが、ハイレベル集団での競争になると論外な事になるのである。睡眠時間を削ってでも勉強して、奈落の底に落ちていった人間を多く見てきた。私の経験からいっても、睡眠時間を削れば全く成績は伸びず、睡眠時間をしっかりとれば、難なく学力が伸びっていったものである。そういう意味では人間のポテンシャルの限界ぎりぎりの結果が求められる環境下では、安易な根性主義や、精神主義の走ることは愚の骨頂でしかないことが、分かる。のんびりした性格の奴が案外ずばぬけて勉強が出来るということも少ないくないのだ。
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